子の誕生日にメール 存在確かめるよう…親たちの10年:朝日新聞

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有料記事 編集委員・石橋英昭2021年3月11日 21時23分  これほど穏やかな青空の3月11日はめずらしい。  午後3時、宮城県石巻市を流れる北上川の川べり。青木恭子さん(62)は、3メートルほどに育った桜の木をなでて、つぼみのついた枝を見上げた。  


息子の謙治さん(当時31)は10年前のこの時刻、ぎりぎりまでここで避難誘導にあたったはずだ。2年ほど前に桜を植え、名前を刻んだ石板を置いた。  私(57)が青木さんの取材を、3月のこの日にするのは初めてだった。  私が「手を合わせないんですね」と言うと、「息子が確かに生きていた場所だから」と。遺体が見つかった沼に寄って花を置き、帰途についた。  青木さんには同じ境遇の仲間…


この記事は有料記事です。残り2702文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません この記事を書いた人 * 石橋英昭 編集委員|仙台駐在 フォロー * 専門・関心分野 東日本大震災、在日外国人、戦争の記憶 東日本大震災


2011年3月11日午後2時46分に三陸沖を震源とするM9.0の大地震が発生しました。被災地の声や復興の現状、原発事故の影響、防災のあり方など、最新ニュースをお届けします。[もっと見る]